扁桃炎 1
扁桃炎とは、細菌やウィルスによって、喉の奥にある扁桃と呼ばれる部位が炎症を起こす病気のことです。風邪をひくと扁桃が腫れることが多くあります。これは扁桃が一つの免疫器官であり、生体の防御機構として働いているためです。急性扁桃炎と慢性扁桃炎があり、急性扁桃炎は喉の異物感、喉の痛みや灼熱感、嚥下痛(物を飲み込むときの痛み)などを生じ、発熱は小児ほど高く40℃にまで及ぶことがあります。
急性扁桃を繰り返すと、扁桃の表面粘膜や内部に炎症が残り、慢性扁桃炎の状態になります。一般的に症状は軽微で、喉の異物感、微熱、倦怠感など。子供は扁桃が肥大する傾向があります。
扁桃が肥大したものをアデノイドと呼び、入学児童の約3割にみられます。肥大した扁桃が耳管をふさぐことにより難聴や耳鳴り、頭重感や集中力や記憶力の減退させ、学習や発育に影響することがあります。扁桃の炎症による鼻炎により鼻の奥が塞がれると、口で呼吸をするようになります。それによりいつも口を開けぼんやりとした、いわゆるアデノイド顔貌となります。
急性扁桃炎が小児~青年期にかけてみられることが多いのは、母親から受けた免疫が減少する1~3歳頃から、感染を繰り返し扁桃の反応が強くなって肥大していき、その後12歳頃になると萎縮、局所免疫反応の場として仕事を終えます。
比較的成人に多い慢性扁桃炎は、急性扁桃炎から移行する場合と、喫煙や飲酒などの扁桃への刺激が原因となって起こる場合があります。
●扁桃炎と病巣感染
病巣感染とは、「人体のどこかに限局した慢性の炎症巣があり、そこには症状が全くないか、もしあっても非常にわずかな症状を示す程度であるのに、この病巣と関係のない遠隔の臓器に、器質的あるいは機能的疾患を起こす反応」、つまり二次的疾患の起こることを意味します。
例えば、慢性扁桃炎が原病巣となり、扁桃炎自体は全く症状がないかあっても軽微であるのに、扁桃から遠く離れた心臓、腎臓、関節、皮膚などに二次的疾患を引き起こすことがあります。
●扁桃炎の治療
扁桃炎を予防するためには風邪をひかないことが大切です。そのためには日ごろから乾布摩擦や日光浴、鍼や灸などで皮膚を刺激し、自己の免疫を強くしておくことです。
扁桃は、局所免疫を担当する大切な器官であるので少なくとも12歳頃までは、手術による摘出は控えたほうがよいと考えられています。
●扁桃炎の光線治療
慢性扁桃炎の子供は、からだが冷えやすく、食欲があまりないため、体重増加が少なく、全般に活気がありません。これは発熱にともなう体力の消耗によりからだの抵抗力が低下し、熱エネルギーが不足が生じていると考えられます。
可視総合光線療法は、浸透力に優れた深部温熱作用がからだに熱エネルギーを補給し、冷えた体を温め、低下した新陳代謝を盛んにします。さらに、光化学作用がビタミンDなどの光産物の産生を促し、カルシウム代謝を是正して免疫機能を高めます。これらの総合的な作用によって、顔色がよくなり、食欲・便通・睡眠などの全身症状の改善とともにからだの抵抗力が強化され、扁桃を中心とする炎症を早く鎮めて症状を緩和させます。また、治療の継続により体質を改善することは、扁桃炎の再発予防・健康維持の観点からも重要となります。
(財)光線研究所「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著