ビタミンDの摂取でQOL向上
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは「生活の質」のことで、その向上や維持のためには病気やケガがないことが必須です。骨折により行動範囲が著しく狭くなり、それを機にQOLが低下するということは珍しくありません。日ごろから骨を丈夫にしておくことは、豊かな人生を送るための重要事項の一つです。
ビタミンDの働き
ビタミンDには次のような働きがあります。
・適切な血中カルシウム濃度を維持するために腸管からのカルシウムの吸収を促進する
・骨の石灰化(カルシウム沈着)を起こし骨密度を正常な状態にする
骨の形成にはビタミンDが必要であり、ビタミンDが不足すると骨が脆くなり、骨折などのリスクが高まります。
カルシウムパラドクス
カルシウムは骨の材料になる以外に、血液を凝固させ出血を予防、筋肉の収縮、神経の興奮を抑制などの働きをもち、生命の維持になくてはならないものです。体内でカルシウムが不足すると、骨からカルシウムを得ようとカルシウムが溶け出します。これにより骨が脆くなると同時に、血中のカルシウム濃度がは上がります。これをカルシウムパラドクスといい、その原因はカルシムの過剰ではなく、カルシウムの不足によって起こります。
カルシウムパラドクスによって、次のような生体にとって望ましくないことが様々起こります。
・動脈硬化:動脈にカルシウムがたまると血管が硬くなり、血管の柔軟性が低下します。
・心疾患 :心臓にカルシウムが蓄積すると冠状動脈の内腔が狭くなり心筋梗塞を起こしやすくなります。また心拍のリズムをとっている刺激伝導系という組織の働きが不規則になり、不整脈を生じます。
・脳疾患 :脳の血管にカルシウムがたまると、脳血管が狭くなり脳梗塞を起こしやすくなります。
ビタミンDを摂取するために
ビタミンDを摂取するための方法は、太陽光を浴びる、食事から摂取するの、二つがあります。カルシウムは太陽光線や可視総合光線療によって皮膚内で産生されたビタミンDによって腸から吸収されます。骨が形成されるためにビタミンDとともにその材料となるカルシウムを摂取しなければなりません。しかし多くの場合、歳を取るとカルシウムの摂取量が不足しがちになり、日光に当たる機会も減ってしまいます。
可視総合光線によって
可視総合光線療法によってビタミンDの不足を補い、体内でカルシウムが有効に利用され骨量の減少が防止されます。同時に血管、心臓、脳へのカルシウムの沈着が抑えられ、カルシウムパラドクスから抜け出すことができます。可視総合光線療法の継続は、動脈硬化症、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの治療や予防へつながります。
ビタミンDを多く含む食品
ビタミンDを多く含む食品は次のようなものです。
シャケ、カツオ、しらす、イワシ、いくら、しろきくらげ、干しシイタケ、切り干し大根 etc
潜水艦の乗組員に、食事によって生体維持に十分と思われるビタミンDを摂取させた結果、血中ビタミンD量の減少を緩めるにとどまり、その値は低下したという話があります。やはり太陽光が必要のようです。
(財)光線研究所 (「可視総合光線療法・理論と治験」黒田一明著)
馬込沢うえだ鍼灸院